こんにちは。
少しご無沙汰をいたしておりますが、お元気でご活躍のことと思います。
私の方、岡山に赴任して1年4ヶ月が経ちましたが、
元気でやっておりますのでご安心ください。
さて、今日は8月14日の月曜日ですが、
私は夏休みでゆっくりと過ごしております。
岡山赴任以来、土曜も日曜もなく仕事をしてきましたので、
こうやって平日にのんびりするのは久しぶりです。
そこで今日はこのところ時間がなくてできていない「作家業」に専念しようと、
朝からPCに向かっております。
今日は、今から29年前に、スペインの首都マドリッドの「蚤の市」で
遭遇したひったくり事件について書いてみます。
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スペイン・マドリッド「蚤の市」顛末記
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今から29年前の今頃、私と家族はスペインの首都・マドリッドにいました。
エジプト・アレキサンドリアに赴任してから1年が過ぎて現地での仕事や生活にも慣れ、
またエジプト国内の観光地詣でにも飽きた頃で、「今度はヨーロッパに」と最初に選んだのが、
家族でのスペイン旅行でした。
マドリッドから始まって、トレド、アランフェス、マラガ、セビリヤ、グラナダ、
バルセロナと、スペイン各地の主な観光地を1週間で回る旅でしたが、
その初っ端のマドリッドでその「事件」は起こりました。
マドリッドでは最初の日に王宮、プラド美術館、スペイン広場等の名所・旧跡を回り、
2日目は朝から蚤の市(ラストロ)に出かけたのですが、私が先頭に立ち、
それにまだ4~5歳児だった息子と娘が続き、女房が最後という順で、
人ごみの中、カスコロ広場を歩いていた時のことです。
突然、後ろから「オー、ノー」という女房の声が聞こえました。
振り返ってみると、女房が若い男とハンドバックを引っ張り合っています。
男が女房のハンドバックを持ち、女房はその紐をもって、
互いに引っ張っているのです。
男が女房からハンドバックを引ったくろうとしたところ、
それに気づいた女房がそうはさせまいとその紐を引っ張り、
お互いに引っ張り合いになったのです。
しかし、そうして引っ張り合っていたのもわずかな間で、
紐が切れて女房はひっくり返り、男は奪ったバックを抱えて
一目散に向うに走り出しました。
それを見て反射的に私も駆け出し、「貴方、ひったくりよ。捕まえて」
という女房の声を背中に、男を追いかけました。
数分間、男と私の駆けっこが続きましたが、幸いなことに私の方が足が速い。
見る見るうちに男の背中が迫ってきて、もう少しで、
手を伸ばせば男の襟首に届きそうになりました。
ところが、傍を歩いていたもう1人の男が、いきなり私に足払いをかけたのです。
そのため私は道の上でおお転びに転んでしまい、顔を上げた時には、
はるか向うを2人の男が並んで逃げていくところでした。
二人は仲間だったのです。
転んだことで顔や手足を擦りむいてしまい、また今更追いつけないので、
ひったくり犯を追いかけるのは諦めて女房のところに戻りました。
女房に確認したところ、「ウエストポーチに入れていたパスポートやカードは
無事だったが、ハンドバックとその中に入れていた現金が盗られた」とのことで、
マドリッド警察に連絡しました。
マドリッド警察は「貴方が犯人を追いかけて踏み込んだ地区は危険地帯。
途中で追いかけるのを止めて引き返したのは賢明だった」と言い、
一通り事情聴取を終えると警察病院に連れて行って治療を施してくれました。
またそこで「大使館に連絡しておいた方がいい」と言われましたので
マドリッドの日本大使館に電話し、
「これこれ」と盗難事件にあったことを告げましたが、大使館の反応は
「ヨーロッパはひったくりが多いのです。それでも盗られたのがお金だけで、
パスポートもカードも無事で大きなケガも無かったのはよかった」
というもので、
「今後、もし盗られたものが出てきたら送りますので連絡先を教えてください」
と言ってエジプトの住所を聞いて電話は切れました。
その後は、さすがに観光する気分ではなく、早々にホテルに引き上げましたが、
その夜、マドリッド警察がパトカーで迎えにきました。
「犯人らしき男を捕まえたから首実検をしてくれ」というのです。
警察の留置場の中には多くの男がいて、警察がその中の1人を指さし、
「この男が犯人ではないか」と言います。
その男が犯人らしくもあるがそうでないようでもある。
第一、私は犯人の顔を遠くから見ているが、間近では見ていない。
それにスペイン人の顔はどれも同じように見える。
面倒になり、また「ここにいる人間はどうせ皆悪人だろう」と思いましたので、
「そうだ。この男だ」と答えました。
「自分ではない」と盛んに抗議している風の男を後に、私は警察を後にし、
その件の決着を見ないままマドリッドを発ち、
スペイン各地を回ってアレキサンドリアに帰ってきたのですが、
現金が無くなってカードだけになったため、マドリッド以降は、
超緊縮の貧乏旅行でした。
私から「この男だ」と言われた男がその後どうなったか知りません。
またマドリッドの日本大使館から、盗難品が返されてくることもありませんでした。
が、このスペイン旅行の前後で明らかに変わったことが1つあります。
それはマドリッドで、よそ行きのドレスアップした姿で歩いていたことで
盗難に会ったことを反省して、女房が、それ以降の旅行には、
質素な目立たない恰好で出かけるようになったということです。
そのお陰でか、その後の海外旅行で、この手の事件に会うことは無くなりました。
しかし、旅行も人生と同じで色々なことがあればあるほど思い出深く懐かしいもの。
今でも夏の今頃になると、盗難事件があり、抜けるような青空とギターと
スペイン民謡と踊りがあり、アルハンブラ宮殿や聖家族教会などの名所旧跡を
回ったスペイン旅行のことが鮮やかに思い出されることです。

