【2025(令和7)年度病院経営者育成塾開講の辞】


こんにちは。
日本病院経営支援機構の豊岡です。
皆さん、2025年度病院経営者育成塾へようこそ。
今年度、この病院経営者育成塾に、全国の病院と企業から、
病院長・事務長塾に23名、看護部長塾に18名、臨床工学技士長塾に8名、
医事職員塾に25名、合計74名の受講生の方をお迎えすることができ、嬉しく思います。
これから皆さんと一緒に病院経営の勉強をしていきます。
1年間の長丁場になりますが、「出席率70%以上」をクリアされた方には、
最後の研修会で開催される卒業式で卒業証書をお渡しします。
どうか頑張ってついてきてください。

さて、本日の2025年度病院経営者育成塾の第一回研修会は、
病院長・事務長塾と看護部長塾の合同研修会ですが、
病院長・事務長塾も看護部長塾も、受講生の皆さんに、
「病院経営・職場運用の方法論・ノウハウ・知識等を修得した院長・事務長・看護部長等の、
  病院経営の出来る病院経営幹部」になっていっていただくための研修会です。

勿論、皆さんがそういう「病院としてのあるべき病院経営幹部」になっていかれるための研修は、
1年間の研修会でマスターできるような簡単なものではなく、皆さんは、
この塾で1年間の研修会を終えた後も、夫々の立場で、
現実の病院経営・運営の課題・問題点と向き合い、経験を積みながら、
精進していかれる必要があります。

その意味で、この病院長・事務長塾と看護部長塾の研修会は、
皆さんが「病院としてのあるべき病院経営幹部」になっていかれるためのワンステップに過ぎません。
ですから、まず皆さんは、この研修会で、そのために必要な最低限の「基礎的な知識とスキル」と、
それを、その後の実際の病院経営・運営の中で、活かしていくために必要な、
他病院・企業の、情報交換・相談して、助け合い、励まし合うことのできる「仲間」を作っていってください。

皆さんが今後、そうしたあるべき病院の経営幹部になっていかれる上で必要な
(1)「基礎的な知識とスキル」と
(2)「他病院・企業の仲間を作る機会」
を提供するのが、この研修会の最大の目的です。

ところで、私は鉄鋼会社の出身で、2001(平成13)年5月からその経営再建のため、
鉄鋼会社傘下の川崎市の病院(400床)に派遣されました。
悪戦苦闘の末、4年間で年間5億円の赤字を1億円の黒字に転換することに成功したのですが、
その時、「病院の経営再建は大変だが、非常な充実感と達成感があり、自分の天職」
と感じたことから、その後、鉄鋼会社から病院外への異動内示があったのを契機に、
「病院の経営再建を請け負うプロの事務局長」として脱サラし、以後、
大阪の民間病院(3病院2施設・1,000床)、和歌山の公立病院(300床)、
岡山の公立病院(400床)、奈良の公立病院(3病院・860床)、沖縄の公立病院(470床)と、
順次、経営改革・再建・改善を実施して歩きました。

その過程で私は、「病院の健全かつ永続的な経営を実現していくためには、1人、
たまたま優秀な事務長や院長がいて頑張るというのではだめで、
病院経営に必要な具体的・実践的な方法論を理解・修得した病院経営幹部職員や、
その下にあって専門的な知識やスキルを取得した実務担当職員の
組織的継続的な教育・育成が不可欠」と痛感しました。
しかし、その教育・育成を単独の病院で実施することは困難で、
またそれをやってくれる教育機関は今の日本にはありません。

そこで「それなら自分でやろう」と、2019(令和1)年10月に、
一般社団法人・日本病院経営支援機構を立上げ、「病院経営者育成塾」を開講して、
病院経営幹部職員や実務担当職員の教育・育成に乗り出しました。

その「病院経営者育成塾」も今年で7年目に入り、「病院長・事務長塾」「看護部長塾」
「臨床工学技士長塾」「医事職員塾」を同時開催するまでになりました。

この「病院経営者育成塾」の研修会では、「抽象論や理屈ではなく、
実践的具体的な方法論を、その成功例を示して教えることによって
『病院の経営が出来る病院経営幹部職員と病院経営を支える実務担当職員』を育成すること」
をその目的とし、「全国各地の色々な病院や企業から、受講生を集めて集合教育を実施すること」
にしておりますが、そのことが結果として、
(1)「受講生同士の切磋琢磨と触発を促し、受講生を大きく成長させる」とともに
(2)「研修会終了後も付き合っていける他病院や企業の仲間作りの機会になる」
と考えております。 

なお、今年(2025年)度各塾の教育カリキュラムですが、私の他、
各分野の「その道のプロの方」も講師に加わって検討・編纂した内容で、他に例のない、
実践的具体的なレベルの高いものになっています。

従って、この病院経営者育成塾で、これから皆さんにお教えする内容は、
各講師がこれまでその実務で実践してきた中から得られた貴重な経験則的なものですが、
しかしその一方で、当然のことですが、絶対的普遍的なものではありません。

病院の抱える問題点・課題は、個々の病院ごとに1つ1つ異なっていますし、
今回のコロナ禍のように、病院を取り巻く環境は不断に変化していきます。
従って、病院経営者育成塾の研修会で皆さんが得たものが即、また未来永劫、
皆さんの役に立つわけではありません。

この病院経営者育成塾の研修会で得たものをベースに、自らの足を使って、
医療現場での問題点を自分の目と耳で直接確かめ、夫々の病院のその時々の課題に合わせて、
解決に寄与できるよう、創意工夫適用できてこそ、病院経営・運営の実際の役に立つのです。

そして、そうできるかどうかは、これからの皆さんの精進にかかっています。
それを皆さんはこの病院経営者育成塾の研修会で得た知識とスキル、
そして培った仲間とともに追求していってください。
私もこの病院経営者育成塾研修会で皆さんと一緒に勉強していく中で、
より高い次元の病院経営改革者となるべく努力していきます。


なお、当、病院経営者育成塾では、受講生向けサービスの一環として、
そうした毎月の各種育成塾の定例研修会とは別個に、その番外編として、
各育成塾の受講生とその派遣元病院・企業関係者を主な対象にした
「オンラインセミナー」を開催しております。

この「オンラインセミナー」は、
(1) その時々の状況に合った旬のテーマを設定して
(2) そのテーマにあった「その道のプロ」の方に登壇願って講演願う
(3) 事例発表会を
(4) 原則として毎月1回
開催するもので、
ちなみに2025年度上期では、

4月22日(火)に「病院建設費の高騰と新しい病院の建て方の提案」、
6月11日(水)に「(宮崎県)串間市民病院の経営改革再建~へき地の中小規模
自治体病院の経営改善事例~」、
6月17日(火)に「中国での研精会の介護事業」
7月22日(火)に「これからの病院は免震構造」
8月19日(火)に「病院のシステム担当者の働き方~電子カルテからAIまで~」
9月16日(火)に「医師のパワハラ防止対策」

の夫々のテーマでのセミナー開催を予定しています。

夫々のセミナーの開催の至近時期になりましたらメール等でご案内申し上げます。
また今年度育成塾受講生とその派遣元病院・企業の関係者は、
無料で視聴できますので、興味のあるテーマがありましたら、奮ってご参加ください。


また、受講生の方に「他の病院の仲間を作る機会」を提供すべく、
育成塾の受講生と講師の希望者を対象にした「飲み会」を、ライブやオンラインで、開催しています。

他の病院や企業の仲間を作る絶好のチャンスになると思いますので、こちらも奮ってご参加ください。


更に、育成塾の受講生・その派遣元病院・企業からの相談に何でも応じる
無料のWebでの「個別相談会」を毎月1日(各相談者1時間)開設しており、
その相談内容に合わせて私や講師が対応しています。

私は、病院経営者育成塾の塾長として「病院経営を教える」立場である以上、
原則として私に病院経営・運営上解決の処方箋を示すことが
出来ないことがあってはならないと考えており、またこれまで20数年間病院経営に
従事してきて得た経験やノウハウもありますので、どのような相談を受けても
その解決の処方箋を示すことができるだろうと思っています。
しかし、万が一その場でそれができなかった場合は、少し時間をいただいて、
当育成塾の総力を挙げて、解決の処方箋を示すようにします。

またその延長として、更にその病院から要請がある場合は、
そのための日程調整や遠隔地の場合の私の交通・宿泊実費負担は
その病院でしていただきますが、それ以外は無料で、
私がその病院へ訪問して、病院幹部の方への個別ヒヤリングを行い、
また必要なデータ等を収集分析して、その病院の問題点・課題の明確化と
その解決の処方箋を提示する「経営分析・経営改善提案報告書」の作成と
その病院への提出・プレゼンを実施しています。

従いまして、2025年度病院経緯者育成塾の受講生で、
病院経営・運営上の課題・問題点等で
お悩みの方がございましたら、1人で、
またその病院の中だけで悩まないで、
お気軽に私にご相談ください。


さて、以上は病院経営者育成塾の塾長としてのご挨拶でしたが、
次に本日の講師としてコメントさせていただきます。

まず冒頭に申し上げました様に、今日の研修会は、
病院長・事務長塾と看護部長塾の合同研修会です。

こうした合同研修会の形は、以前はなかったのですが、
当「病院経営幹部育成塾」では、複数の異なった職能の育成塾を開催・運営していることから、
各職能共通のテーマについては、全受講生が合同で研修した方が、
受講生同士の交流も広がり、またお互いの啓発にもなり、
グループディスカションも深化・活性化するのではないかと昨年度から実施することにしたもので、
研修会終了後に受講生から頂戴したアンケート結果も上々だったように思います。


さてその本日の合同研修会の「各論1」では「意識の変革」をテーマとして取り上げます。

そのため受講生の皆様には、
「講演1」の「病院の常識イコール世間の非常識」と、
「講演2」の「病院の経営改革・再建における「その道のプロの委託会社の活用」」
の2つの講演を、オンディマンド配信で事前に視聴してきていただいています。

「講演1」の内容は、20数年前に私が企業立病院に派遣されて
初めて病院経営再建に取り組んだ時、実際にあったこと、
経験したことがベースになっており、そして「講演2」は、
10数年前に私が民間病院から初めて公立病院に赴任してその経営再建に取り組んだ時、
経験したこと、やったこと、考えたことがベースになっています。

この2つの講演は毎年の冒頭の研修会で行っていますが、受講生の方に好評です。

ただ、これまでの研修会では、私から事前にレジュメ等で提示した何点かの課題に沿って、
受講生同士でグループディスカッションを行った後、グループ代表の方がそれをまとめて発表し、
それに講師である私が講評するという形で研修を行っていました。

それに対して昨年の研修会から、受講生同士のグループディスカションから、
受講生の皆さんと講師の私で直接ディスカションする方式に切り替え、
課題についても敢えて私の方から事前に出すことはせず、講演を聴いた受講生の皆さんに
課題を感じ取っていただき、その上で、質問や意見を受講生の皆さんから私にしていただいて、
私がそれに1つ1つ回答するというやりかたにしています。

これは私が5年前に東京医科歯科大学(今の東京科学大学)大学院の
医療管理政策学MBAコースで非常勤講師を務めた時に導入したやり方で、
受講生同士のディスカションではなく、講師と受講生の直接のディスカションに重きをおき、
そのため、あらかじめ講師が課題を設定するのではなく、
受講生が講演を聴いて思いつくまま考えるまま、講師に自由に質問や意見をぶつけ、
講師が個々にそれに応えるというやり方で、その時の受講生の評判も上々だったように思います。

そのため、その後、私が各地の大学院で担当する講義では、今もこのやり方を踏襲しており、
昨年度からはこの研修会でもやってみることにしたものです。

私と受講生の皆さんとの直接のディスカッションからどのような質疑が飛び出し、
どう話が展開していくのか今から楽しみです。


以上、少し挨拶が長くなりました。

それでは今からご一緒に2025(令和7)年度「病院長・事務長塾」と「看護部長塾」合同研修会を始めましょう。
これから1年間よろしくお願いします。

2025年4月 豊岡 宏
日本病院経営支援機構 理事長
病院経営者育成塾 塾長
総務省経営・財務マネジメント強化事業アドバイザー
(病院事業) 



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